「エコキュートには寿命はあるの?」「エコキュートが寿命を迎えた場合はどうしたらいいの?」こういった疑問を持っている方は多いでしょう。エコキュートは比較的、新しい設備のため、正確な情報を見つけられない場合もあります。この記事では、エコキュートの寿命や故障の原因などを解説します。
エコキュートの寿命は10年?
エコキュートの寿命は、10~15年程度が目安です。
本体のなかでも部位ごとに寿命が異なり、ヒートポンプユニットの耐用年数は5~15年、貯湯(ちょとう)ユニットの耐用年数10~15年が目安です。
それぞれの寿命についてはあくまでもひとつの目安であり正確にいつ寿命を迎えるか、というのは残念ながら断定できません。
その理由のひとつはエコキュートの歴史にあります。
比較的新しい技術であるエコキュートは、1990年代から開発が進められ、国内で初めて発売されたのが2001年です。
設置後20年程度しか経ってないため耐用年数に関して長期的な統計をとるのは難しいのが現状です。
エコキュート機器の特徴
エコキュートは、「貯湯ユニット」と「ヒートポンプユニット」という2つの機器で給湯器の機能を担っています。
冷蔵庫のような見た目の「貯湯ユニット」は沸かしたお湯を貯めておくタンクのことです。エアコンの室外機のような見た目の「ヒートポンプユニット」はお湯を沸かすための機器です。
外気を取り込むヒートポンプユニット機器はエコキュート独自のものとなっています。
ヒートポンプというシステム自体はエアコンにも使用されているのでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
気体は圧縮すると高温になり、それを急に解放すると温度が下がる特性があり、エアコンの場合はこの圧縮と解放の変化で暖房と冷房に切り替えています。
エコキュート機器でも同じように気体(外の空気)を圧縮して熱を作り、お湯に変えているのです。
エコキュートは効率のよい省エネ機器と言われていますが、機械なので毎日使っていれば不具合が出てくることもあるでしょう。
以下ではそんな時の対処法などを解説します。
故障かな?と思ったときのセルフチェック項目
エコキュートに不具合が出た場合、どのように対処したらよいでしょう。
よくあるトラブルとその原因や解説方法についてご紹介します。
お湯が出ない
お湯がでない時に考えられる主な原因は以下の3つです。
・凍結
・湯切れ
・詰まり
お湯が出ない場合に特に多い原因が凍結です。
冬場であれば配管やタンク内などが凍結していないかを確認するとよいでしょう。
エコキュートの仕組み上、タンクに貯めておいたものを使うので、一気に使うとタンクの中身が足りなくなってしまう湯切れというケースもあります。
湯切れの場合であれば、ほとんどのメーカーでリモコン表示にお湯が足りないというエラーが出るので分かりやすいでしょう。
最後に、止水栓が閉まっていないか、給水ストレーナーにゴミが溜まって詰まっていないかなどを確認します。
お湯が出ない場合は、上記の方法を試してみてください。
昼間の沸き上げが増える
エコキュートの沸き上げとは、タンクに貯めるお湯を自動で作ることです。
基本的には電気代が安い夜間にお湯を作る設定になっています。
しかし、夜間の沸き上げでなく何故か昼間に沸き上げが増えてしまい、故障かなと思うケースがあります。
原因の多くは故障ではなく、エコキュートが必要な湯量を調整しているというケースです。
直近の期間の使用湯量が多くなると、足りなくならないように夜間だけでなく昼間にも沸かしておくように自動で調整するため、昼間も稼働します。
もしお湯を多く使ったという原因が分かっていれば、設定を変更すればすぐに改善できるでしょう。
運転音がうるさい時がある
エコキュートの稼働音がうるさく感じ、故障かなと感じる場合があります。
しかし沸き上げの最中は、通常でもある程度の音がでるものです。
通常時よりうるさく感じる場合は、外気温が低いという理由が考えられます。
冬季は、ファンの凍結や内部に雪が入るなどして騒音となることもあるので確認してください。
凍結の場合は、外側からお湯をかけて改善できる場合もあります。
ヒートポンプユニットから水が漏れてきた
ヒートポンプユニットから水が漏れてきたら、水を下へ落とすドレンホースが正しくセットできているか確認しましょう。
ヒートポンプユニットの背面には空気熱交換機があり、沸き上げをしているときは低温になるでしょう。
湿気を含んだ空気に触れると結露となり、機器本体が汗をかいたような状態になることがあります。
各メーカーの公式サイトには故障についてのQ&Aが設置されているので、エラーコードを確認しながら原因を探してみるとよいでしょう。
寿命を迎えたエコキュートを修理・交換する場合の費用相場
セルフチェックでも改善できなかった場合は、修理または交換を頼むことになります。
修理交換にかかる費用相場を、すべて交換する場合と、一部のみ修理する場合で解説します。
すべて交換する場合
エコキュート本体すべてを交換する際の費用相場は40万円前後が目安です。
ただし、エコキュートにはさまざまな機種と、タンク量の違いもあるので一概には言えません。
本体価格は最安で10万円台後半から、多く購入されている中央価格帯では20万円台後半~30万円台と幅があります。
配管や設置工事などにより別途で工賃が15万円前後はかかる場合が多いでしょう。
グレードの高い機種だと本体だけでも50万円以上するものもありますが、自宅に合うサイズなどもあるので必要な機能や容量をよく確認して検討しましょう。
一部のみ修理する場合
一部の修理で直せる場合の目安額です。
あくまで一例なので、実際の修理の際は見積もりをしてもらう必要があります。
状況別の修理費用の目安は以下となります。
・温度設定ができない場合(混合弁の不具合の可能性):28,000円
・沸き上げができない場合(基盤の故障の可能性):28,000円
・ヒートポンプユニットからの水漏れ(コイルの故障の可能性):13,000円
・貯湯タンクが何らかの原因で破損した場合:18,000円
どうしても経年劣化は避けられないので、修理が数カ所に及ぶ場合は買い替えをした方がよいケースもあります。
エコキュートの寿命を長持ちさせる方法
エコキュートを少しでも長く使うために日ごろから気を付けておくとよい点が3つあります。
下記をチェックして日頃のメンテナンスに活かしましょう。
タンクの水抜きをする
エコキュートは、タンクを水抜きしておくことで不純物を取り除けます。
また、汚れやゴミが混ざりにくくなるため寿命を長く保ちやすいです。
貯湯タンクの中身をいったんすべて空にして、清掃しておくとよいでしょう。
貯めっぱなしにしておかずに年に2、3回は水抜きを行います。
タンク内や水の臭い改善にも繋がります。
配管の洗浄をする
自動洗浄機能を設定しておくとお風呂の排水のたびにエコキュートでお湯を沸かして配管に流し清掃してくれます。
自動以外に、手動でも洗浄機能を使えるので配管の汚れが気になったら都度行うとよいでしょう。
配管の掃除は業者に依頼することもできます。
詰まり防止のためにできるだけ清潔を保ちましょう。
入浴剤に注意する
エコキュート機能の浴槽には、硫黄、酸、アルカリ、塩分を含んだ入浴剤を使うと故障の可能性があります。
メーカー毎に使用可能な入浴剤をホームページやパンフレットなどに記載しているので、適合しているものをだけを使用するようにしましょう
修理・交換の際の事前のチェックポイント
修理や交換をする際には事前にチェックしておきたいポイントがあります。
メーカーや業者に修理を依頼する際には以下の2点を確認しておきましょう。
メーカーの保証期間を確認する
まずはメーカーの保証期間内であるかを確認します。
基本の保証期間は、どのメーカーも本体が1年程度、熱交換器などの機器は3年程度、タンク本体は5年程度に設定されています。
期間内であれば、無償または保証期間内での料金で修理、交換ができます。
また、ほとんどのメーカーでは追加料金の延長保証サービスも設定されています。
修理を検討の際は事前に契約状況を確認するとよいでしょう。
一例として、パナソニックは29,700円、ダイキンは36,300円、三菱は31,200円で10年の延長保証サービスをつけることができます。
火災保険が適用されるケースもある
経年劣化ではない、突発的な災害の場合には加入している保険によって、給湯器の修理が保証されるケースもあります。
例として「大雪で屋根から落下した雪の重さで給湯器が破損した」「大雨で浸水してしまいその影響で給湯器が故障した」などがあります。
これらは通常の火災保険に追加して、家財についての特約をかけていると対象になるというケースが多いです。
一度、ご自身の契約内容を確認してみてください。
給湯器の寿命が近づいたら新商品への移行を検討しよう
正しく使用し、しっかりとメンテナンスをしても経年劣化は避けられません。
10年近く前に購入されているエコキュートの場合は寿命を迎えた可能性もあります。
近年発売されたエコキュートには、スマホとの連携機能ができる便利な機能や、これまでよりも省エネな機器も数多く発売されています。
購入からある程度の期間が経っている場合は買い替えのタイミングかもしれません。
この機会に最新機種を検討してみましょう。
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