家庭用の蓄電池で比較したい要素
家庭用の蓄電池を選ぶ際に比較したい要素は、主に以下の6つです。
・容量
・種類
・価格
・充放電回数
・保証内容
・停電時出力
蓄電池選びで比較したい要素の内容を、それぞれ解説していきます。
容量
まずは、蓄電池は使用したい容量によって選ぶとよいでしょう。
蓄電池の容量とは、使用できる電気の量を表しており、単位はkWh(キロワットアワー)です。
容量が大きければ、家電の使用時間を長く確保できます。
家庭用の蓄電池の容量は、一般的に1~16.6kWhの商品が多いです。
また、蓄電池の容量には「定格容量」と「実効容量」があります。
「定格容量」とは、蓄電池に蓄えられる電気の量のことです。
「実効容量」とは、実際に使用できる電気量を指します。
そのため、蓄電池を購入する際は「実効容量」も確認しておきましょう。
容量別に蓄電池を選ぶ際、停電時に冷蔵庫や電灯、電気ケトルなどといった最低限の家電の使用のみでいいという場合は、3.5kWhほどで足りるでしょう。
しかし、さらにエアコンやIHコンロなどを同時に使用したい場合は、11kWh以上の容量の蓄電池がおすすめです。
蓄電池でどのような家電を使用したいかによって、容量を決めましょう。
家族構成によって決める
家族構成によって、蓄電池を選ぶのもおすすめです。
大人数の家族の場合、使用する電気の量が増えるため大容量の蓄電池を選ぶとよいでしょう。
2人暮らしで、普段から電気代が安い家庭であればそこまで大きな容量は不要である場合が多いです。
使用する家電によって決める
使用する家電によって、購入する蓄電池を選ぶ場合もあります。
使用する家電の出力(消費電力)が大きい場合、大容量の蓄電池を選ぶと安心です。
特に、キッチン用の家電製品やエアコンは消費電力が大きいです。
そのため、蓄電池の容量も大きい方がいいでしょう。
例えば、携帯電話の充電に必要な消費電力は33Wほどで、ノートパソコンの使用の際は100Wほどが必要です。
しかし、電子レンジは1300Wほど、エアコンは6畳用で暖房使用の場合、750Wもの消費電力が必要となる製品もあります。
電子レンジやエアコンなどの消費電力が大きい家電を使用する場合、蓄電池を購入する際は容量に注意しておきましょう。
太陽光パネルの発電量によって決める
蓄電池は、太陽光パネルの発電量に合わせて購入するタイプを決めるようにするのもよいでしょう。
太陽光パネルの発電量と自家消費量を考慮して、売電しなかった分の発電量を蓄えられる容量のある蓄電池を選びましょう。
種類
蓄電池は、種類によって選ぶケースがあります。
基本的に使用するのはリチウムイオン電池です。
リチウムイオンタイプの蓄電池には、以下の3つの種類があります。
・単機能タイプ
・ハイブリッドタイプ
・トライブリッドタイプ
以下にて、蓄電池のそれぞれ種類の説明と、どのようなときにどのタイプを選ぶべきかも解説します。
単機能タイプ
単機能タイプは、太陽光発電システムと蓄電池用のパワーコンディショナーがそれぞれ必要な製品です。
パワーコンディショナーとはパワコンとも呼ばれており、電力を変換する機械のことです。
太陽光発電によって蓄えられた電力は「直流」です。
対して、家庭内で使用する電力は「交流」となります。
そのため、パワーコンディショナーを使って電力を変換させなければ、家庭内で太陽光発電で蓄えた電気を使用できません。
単機能タイプの蓄電池はハイブリッドタイプよりも価格が安いため、初期費用を抑えたい方におすすめです。
ハイブリッドタイプ
ハイブリッドタイプは、単機能タイプとは違い、太陽光発電システムと蓄電池用のパワーコンディショナーが1つになった製品です。
単機能タイプの場合、電力を変換する際に発電ロスが発生していました。
しかし、ハイブリッドタイプであれば発電ロスが少なくなります。
また、ハイブリッドタイプはパワーコンディショナーを2台設置しなくてよいため、場所を取らないというメリットもあります。
蓄電池の設置場所にお悩みの方におすすめです。
トライブリッドタイプ
トライブリッドタイプは、家庭内だけでなく、電気自動車やPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)にも使用できる製品です。
PHVとは、電気で走るハイブリッド車のことです。
電気自動車やPHVをお持ちで、ご自宅に蓄電池を設置予定の方は、トライブリッドタイプの購入をおすすめします。
価格
蓄電池は、予算に合わせて選ぶのもおすすめです。
蓄電池は、容量が大きいほど高くなる傾向にあります。
4kWhほどの容量では100~200万円ほど、12~13kWhとなると400~500万円ほどします。
使用したい容量や家族構成なども加味しながら、予算と照らし合わせて購入する蓄電池を検討しましょう。
>> 蓄電池に使える補助金を解説>> 家庭用蓄電池の価格と設置費用
充放電回数
充放電回数を確認して、購入する蓄電池を選ぶ場合もあります。
充放電回数とは、蓄電池の寿命のようなものです。
蓄電池が放電と充電を何回繰り返せるのかを記したのが、充放電回数となります。
充放電回数は、電池のタイプによって異なります。
電池のタイプ別に、充放電回数を以下でチェックしましょう。
・鉛蓄電池:3,150回ほど
・ニッケル水素蓄電池:2,000回ほど
・リチウムイオン蓄電池:3,500回ほど
蓄電池は、使用予定回数と充放電回数を考慮して選ぶとよいでしょう。
保証内容
蓄電池はメーカーや商品によってさまざまな保証がつけられているので、内容を考慮して選ぶのもよいでしょう。
メーカーによっては、機器に不具合が生じた際に10年間無料で修理してくれる保証があります。
正しい方法で使用しているにもかかわらず、蓄電池の容量が下回った際に無料で修理してくれる保証もあります。
保証内容は、蓄電池のメーカーサイトや販売店で確認しましょう。
停電時出力
停電時出力を考慮して、蓄電池を選ぶ方法もあります。
蓄電池によっては、停電時にすぐに使用できないタイプもあります。
そのため、台風や地震の被害に備えて、停電時でも安心して使える蓄電池を選ぶのもおすすめです。
停電時に蓄電池を使用する場合、「自立運転」をさせなければいけません。
また、蓄電池には「手動切換」と「自動切換」機能があります。
蓄電池によっては、「自立運転」に手動で切り替えなければいけないタイプがあるのです。
しかし、停電時に暗闇の中で蓄電池を手動で「自立運転」に切り替えるのは、場合によっては難しいこともあるでしょう。
そのため、停電時にすぐに必要な家電が使用できるように、「自動切換」機能があるタイプを選ぶと安心です。
目的別!家庭用の蓄電池メーカー&商品を比較
目的別に、おすすめの家庭用の蓄電池メーカーや商品を紹介します。
おすすめする蓄電池メーカーや商品は、以下の項目別に紹介していきます。
・容量の大きさ
・価格の安さ
・電気の使用目的
・停電時に役立つ製品
ぜひ蓄電池選びの際の参考にしてみてください。
容量が大きい蓄電池とメーカー
容量が大きい蓄電池とメーカーを、以下で3つ紹介します。
使用する家電の消費電力が大きい、大家族である、という方はぜひチェックしてみてください。
ニチコンの単機能蓄電システムESS-U2X1「16.6kWh」
大容量でおすすめの蓄電池は、ニチコンが発売している単機能蓄電システムESS-U2X1「16.6kWh」です。
大容量なため、最大約30時間ものあいだ電気を使用できます。
また、停電に備えて常に容量の30%の電力を保持する機能もついています。
単機能タイプなので、設置する際に場所を取ってしまう点がデメリットです。
メーカー希望小売価格は、400万円です。
オムロンのマルチ蓄電プラットフォームKPBP-Aシリーズ「16.4kWh」
同じく16kWh以上の容量を持つ蓄電池、オムロンのマルチ蓄電プラットフォームKPBP-Aシリーズ「16.4kWh」もおすすめです。
単機能タイプ、ハイブリッドタイプ(特定負荷または全負荷)から選べます。
特定負荷とは、停電時に一部の部屋の電気のみ使用できるタイプで、全負荷はすべての家電が使用できる状態です。
最大でおよそ45時間も電気が使用できて、充電と放電のタイミングをライフスタイルに合わせて調整可能です。
また、高さ1010mm、横幅490mmと大容量の蓄電池にもかかわらず小型タイプなので、置き場所に困りません。
メーカー希望小売価格は、以下の通りです。
・単機能タイプ:530万円
・ハイブリッドタイプ(特定負荷):592万円
・ハイブリッドタイプ(全負荷):675万円
デメリットを挙げるとすると、ニチコンの単機能蓄電システムESS-U2X1「16.6kWh」よりも容量が少ないのに価格が高めな点です。
京セラのエネレッツァ最新蓄電池「15.0kWh」
京セラのエネレッツァ最新蓄電池「15.0kWh」も大容量の蓄電池としておすすめです。
最大で47時間の電気使用が可能です。
また、停電時には自動で特定負荷へ切り換えられるため、安心して電気を使用できます。
さらに、停電に備えて蓄電池の容量の残量を30~100%で設定可能なので便利です。
ただし、特定負荷タイプなので停電時は設定した家電しか使用できません。
メーカー希望小売価格は非公開となっています。
価格が安い蓄電池とメーカー
価格が安い蓄電池とメーカーを、以下で紹介します。
紹介する製品は、コンパクトタイプの蓄電池の価格が安いメーカーの商品です。
初期費用をできるだけ抑えたい方は、ぜひチェックしてみてください。
ニチコンの単機能システムESSーU3S1
ニチコンの単機能システムESSーU3S1は、4.1kWhでメーカー希望小売価格は998,000円です。
小型の蓄電池ながら、最大で8時間ほどの電気使用が可能です。
また、インターネットを使用すればモニターで蓄電システムを24時間いつでも確認できます。
本体は10年、室内リモコンは5年の保証ありも嬉しいポイントです。
ただし、単機能タイプなのでパワーコンディショナーが2台必要となり、設置に場所を取ってしまいます。
京セラ小型スタンダードタイプEGS-LM0320
京セラ小型スタンダードタイプEGS-LM0320は、3.2kWhでメーカー希望小売価格は1,650,000円です。
最大で約9時間もの電気使用が可能となっています。
また、売電と買電の価格によって充電方法を選択できる機能つきです。
ただし、特定負荷タイプなので、停電時は設定した家電しか使用できません。
パナソニック創蓄連携システムS+
パナソニック創蓄連携システムS+は、3.5kWhでメーカー希望小売価格は1,837,000円です。
容量の小さな蓄電池ですが、停電時には冷蔵庫や電灯、ケトルなどを問題なく使用できます。
また、異なる容量の蓄電池ユニットの増設も可能となっています。
将来的に蓄電池の容量を増やしたいとお考えの方にもおすすめの製品です。
さらに、奥行きが139.2mmとスリムタイプなので設置しても邪魔になりにくいです。
もとは特定負荷タイプですが、全負荷にも変更できます。
ただし、全負荷に変更するためには電力切替ユニットの購入が必要です。
電気の使用目的で選ぶ蓄電池とメーカー
電気の使用目的で選ぶ蓄電池とメーカーを紹介します。
使用目的は、以下の3つの項目に分けて紹介しています。
・太陽光発電量
・ハイブリッド型
・トライブリッド型
それぞれの使用目的ごとに、おすすめの蓄電池の詳細を以下で解説していきましょう。
太陽光発電量から選ぶ蓄電池とメーカー
太陽光発電量が多い場合は、容量の大きい蓄電池を選ぶといいため、ニチコンの単機能システムESSーU4X1がおすすめです。
容量は16.6kWhです。
住宅用定置型単機能蓄電システムにて、2020年12月時点で業界No.1の大容量となっています。
最大で36時間の電気使用が可能で、全負荷タイプなので停電時も安心して過ごせます。
単機能タイプなので、太陽光発電システムのパワーコンディショナーも必要となる点に注意が必要です。
メーカー希望小売価格は450万円です。
おすすめのハイブリッド型の蓄電池とメーカー
おすすめのハイブリッド型蓄電池は、オムロンのKPBP-Aシリーズです。
パワコン更新や卒FIT後は、太陽光発電を蓄電池にためられるハイブリッド型の商品がおすすめです。
太陽光発電システムをすでに導入されている場合、ある期間を過ぎるとパワーコンディショナーの更新が必要となります。
また、FITとは電気会社が10年間は太陽光発電の買い取りを行うと定められた制度です。
電力会社との契約から10年経過すると、売電価格が変動する「卒FIT」という状態になります。
オムロンのKPBP-Aシリーズは「単機能」や「ハイブリッド」のほかに、「全負荷対応型ハイブリッド」があります。
停電時もすべての家電が使用できるので、安心して暮らせるでしょう。
また、9.8kWhと16.4kWhと大容量なのも嬉しいポイントです。
オムロンKPBP-Aシリーズには特筆するデメリットはありません。
メーカー希望小売価格は非公式となっています。
電気自動車と連携できるおすすめのトライブリッド型の蓄電池とメーカー
トライブリッド型の蓄電池でおすすめなのは、ニチコンのトライブリッドパワコンESS-Tです。
日中ためた電力を夜に電気自動車へ移しておくため、朝からすぐに活動できます。
また、停電時には蓄電池からの放電により、住宅内の家電が使用可能です。
ニチコンのトライブリッドパワコンESS-Tは15年の無償保証つきなので、長く安心して使用できるのも嬉しいポイントです。
ニチコンのトライブリッドパワコンESS-Tには特筆するデメリットはありません。
メーカー希望小売価格は100~110万円です。
停電時に役立つ蓄電池とメーカー
停電時に役立つ蓄電池とメーカーを以下にて紹介していきましょう。
また、100Vと200Vの両対応タイプや、全負荷型と特定負荷型ごとにもおすすめ製品を紹介します。
機能別に詳しい情報がお知りになりたい方はぜひ確認してみてください。
長い停電期間でも安心な大容量の蓄電池
長い停電期間でも安心して過ごせる蓄電池としておすすめなのは、ニチコンの単機能蓄電システムESS-U2X1の16.6kWhタイプです。
大容量というだけでなく、停電に備えて常に容量の30%を残しておくシステムを搭載しているので安心です。
ただし、容量も大きく単機能タイプなので、設置する際は広いスペースが必要となります。
メーカー希望小売価格は400万円となっています。
100Vと200V対応のおすすめ蓄電池とメーカー
100Vと200Vの両方に対応しているおすすめの蓄電池は、ニチコンのESS-H1L1シリーズです。
12kWhと大容量なので、200Vの家電を使用する際も安心です。
また、気温がマイナス30度から+40度であれば稼働するため、寒冷地域の住宅への設置も可能となっています。
ニチコンのESS-H1L1に特筆するデメリットはなく、メーカー希望小売価格は420万円です。
全負荷型と特定負荷型のおすすめ蓄電池とメーカー
前負荷型でおすすめな蓄電池は、シャープのクラウド蓄電池システムです。
停電時でも200Vのエアコンが使えたり、蓄電池の設置後に容量を増やせたりします。
コンパクトでシックなデザインなので、設置箇所を選びません。
ただし、200V対応ですが機器によっては使用できないため注意が必要です。
メーカー希望小売価格は260万円です。
また、特定負荷型でおすすめな蓄電池は、長州産業のハイブリッド型スマートPVです。
約8,000回もの充放電を繰り返しても、60%以上もの容量を維持できるため長期にわたって使用できます。
さらに、縦が656mm、横幅が120mmと世界最小クラスのサイズなので、住宅の広さの制限を受けにくいです。
これまでは置き場所がないからと諦めていた方でも、蓄電池を導入できます。
メーカー希望小売価格は255万円と、容量の割に高めの設定となっています。
失敗しないためには目的に合った蓄電池選びが重要
蓄電池を購入する際は、使用目的に合ったタイプを選ぶようにしましょう。
目的に沿わない蓄電池を選ぶと、無駄に性能や価格が高い商品を買って損をしてしまいます。
まずは利用目的をチェックして、ご家庭に最も適した蓄電池を導入するようにしましょう。
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