住宅用太陽光発電
太陽光発電を設置するにあたり「火災保険は必要なの?」と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。標準のメーカー保証で十分なのか、それとも万が一の災害や事故に対する備えが必要なのか、気になるところですよね。そこで、本記事では太陽光発電の火災保険とメーカー保証それぞれの特徴について解説します。
まず触れておきたいのが、一般的に「火災保険は住宅にかかっている」ということです。
そして、住宅にかかっている火災保険の補償範囲は、屋根に設置されている太陽光パネルまで及びます。
したがって、太陽光発電システム自体に火災保険をかける必要はありません。
ただし、火災保険の契約後に太陽光発電システムを付けた場合は注意しましょう。
というのも、設定している保険金額によっては補償額が足りなくなり、「太陽光発電の修理費用が足りない!」という状況になってしまう場合があるためです。
太陽光発電を後付けする場合は、住宅にかかっている火災保険を見直し、ついでに他の補償や保険会社自体も見直してみるといいかもしれません。
そうすることで無駄な補償を省いたり、安い保険会社への乗り換えたりすれば、保険料の節約につながります。
前述した通り、住宅の一部である太陽光発電には住宅の火災保険が適用されます。一方で、太陽光発電システム自体に火災保険と同様の補償が適用される制度があります。それがメーカー保証です。
そこで、次は太陽光発電のメーカー保証について見ていきましょう。
一般的に、太陽光発電システムを設置すると10年以上のメーカー保証が付与されます。
メーカー保証は主に3つに分かれます。
出力保証は、太陽光パネルの出力について一定値以上を保証する制度です。これは住宅用火災保険では代用できません。
機器保証は、太陽光発電システム全体に適用されます。各機器に不具合や故障が発生した場合に修理・交換が受けられる制度です。これは住宅用火災保険の「電気的・機械的事故の補償」で一部代用可能です。
自然災害補償は、火災や落雷、台風などによって発生した太陽光発電システム上の損失を埋め合わせる制度です。これは当然、住宅用火災保険と重複します。
なお、出力保証と機器保証に関しては無償で付与しているメーカーが大半ですが、自然災害補償に関しては有償で付与しているメーカーも少なくありません。ちなみに、販売店によっては太陽光発電の設置料に自然災害補償料を組み込んでいる場合もあります。
以上のように、住宅の火災保険と太陽光発電のメーカー保証は、役割が一部重複しているのです。
では、両者にはどんな違いがあるのでしょうか。
以下で詳しく見ていきましょう。
住宅の火災保険と太陽光発電のメーカー保証の違いは「適用期限」と「適用範囲」です。
まずは「適用期限」について解説します。
一般的に、住宅の火災保険は適用期限を設けていません。
一方、太陽光発電のメーカー保証は適用期限を設けています。年数はメーカーによって異なりますが、機器保証であれば15年、自然災害補償であれば10年に設定されていることが多いです。
このような違いが出る一因は、住宅と太陽光発電の寿命でしょう。住宅は何世代にもわたり使われることも少なくありませんが、太陽光発電は長くても30年ほどで寿命を迎えます。
では続いて「適用範囲」について解説します。
住宅の火災保険は、火災だけでなく風災や雪災による被害に対しても適用されます。
それは太陽光発電のメーカー保証、とりわけ自然災害補償においても同様です。
では、火災保険と自然災害補償の適用範囲を比べてみましょう。
火災保険 | 自然災害補償 |
---|---|
火災 落雷 破裂、爆発 風災 雹災 雪災 |
火災 落雷 破裂、爆発 風災 水災 雹災 雪災 落下物・飛来物の衝突 |
このように、太陽光発電の自然災害補償は比較的、適用範囲が広いです。
他にも、例えば台風でパネルが吹っ飛び通行人にけがを負わせた場合に適用されるケースもあります。
なお、ここで一つ注意が必要です。それは地震による被害です。
住宅の火災保険も、メーカーの自然災害補償も、地震による被害は補償してくれません。
地震のほか津波や噴火による損害に対して補償を受けるためには、地震保険の加入が必要です。
ちなみに、地震保険では実損額ではなく損害部の割合に対して補償金額が決まります。
ここまで太陽光発電の火災保険について、住宅用の「火災保険」とメーカー保証の「自然災害補償」2つの視点から述べてきました。それぞれ異なる点はありますが、基本的な役割は変わりません。
そこで、これから太陽光発電を設置する方にとってポイントとなるのは、「メーカー保証の自然災害補償に加入するべきか否か」でしょう。
もっとも、自然災害補償が無償であれば悩む必要はないですが、有償の場合は難しいところです。
まずは住宅の火災保険の内容を見直した上で、メーカーの自然災害補償で補足するかどうか検討する。これが結論と言えるでしょう。
なお、住宅の火災保険とメーカーの自然災害補償の両方に加入していても、どちらか一方からしか補償金は受け取れません。
ところで、太陽光発電のメーカー保証の期限や範囲は、販売施工会社によって変わる場合があります。
したがって、販売施工会社から見積もりを取った段階で、保証内容についても確認しておくべきでしょう。
太陽光発電を設置してから保証面で後悔しないように、販売施工会社は慎重に選んでくださいね。