住宅用太陽光発電
住宅を購入すると「太陽光パネルの設置」を工務店やハウスメーカーから提案されることがあります。もし太陽光パネルを設置するなら「一体何年くらい使えるのか」気になりますよね。そこで本記事では、太陽光パネルの「寿命」や「保証」について詳しく解説します。
太陽光パネルの耐久年数いわゆる寿命は20~30年と言われています。一方、耐用年数は17年に定められています。
耐用年数とは固定資産の効用持続年数です。土地や建物や機械装置などの固定資産ごとに「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」により定められています。
つまり、耐用年数は太陽光パネルの減価償却費を求めるための基準なのです。したがって必ずしも太陽パネルの寿命を示しているわけではありません。
実際、耐用年数を過ぎても稼働している太陽光パネルはたくさんあります。
ちなみに、太陽光発電システムの中核であるパワーコンディショナの寿命は10~15年と言われています。太陽光発電システムはさまざまな機器で構成されていますが、その中でまず修理や交換が必要になるのはパワーコンディショナであるケースが多いのです。
太陽光パネルはある日急に寿命を迎えるわけではありません。多くの場合、小さな劣化が積み重なっていき寿命を迎えるのです。
では、太陽光パネルはなぜ劣化してしまうのでしょうか。
主な原因は以下の4つです。
これらの複数の原因が重なることで、太陽光パネルの「発電出力の低下」が引き起こってしまうのです。
例えば、紫外線や温度変化によって太陽光パネルの部材が傷つき、そこから雨水が入り込むことで配線が腐食し、接続不良が起きて出力が低下する、といったような流れです。
では、実際にどのくらい出力が落ちてしまうのか、気になりますよね。
そこで続いては、太陽光パネルの劣化による出力の低下率を見ていきましょう。
太陽光パネルは先に述べたような種々の外的要因によって、徐々に出力を落としていきます。
ただし、太陽光パネルの種類によって出力の低下率は変わります。
そこで、太陽光パネルの種類ごとに、5年後の出力の低下率をまとめました。
パネルの種類 | 5年後の出力 |
---|---|
単結晶シリコン | 96.8~96.1% |
多結晶シリコン | 97.7~97.2% |
アモルファスシリコン | 94.3% |
HIT | 98% |
CIS | 98.5% |
ちなみに、太陽光パネルの販売店などが提示している発電量の予測シミュレーションには、以上のような出力低下が考慮されていない場合もあるので注意しましょう。
太陽光パネルの劣化は止められませんが、適切なメンテナンスを行うことでが遅らせることはできます。
ただし、太陽光パネルのメンテナンスは専門業者に依頼する必要があり、およそ2万円の費用がかかります。なお、使用年数によっては無償でメンテンナンスが受けらる場合もありますので、メーカーや販売施工会社に確認してみてください。
メンテンナンスの頻度については、4年に1回を目安としましょう。
また定期的にメンテナンスを行うだけでなく、日々の発電量をモニタリングすることも重要です。
太陽光パネルは汚れが付くと発電量を大きく落としてしまう場合があります。汚れの原因としては動物の糞や花粉、黄砂などが考えられますが、いずれにせよ直ちに清掃が必要です。そのまま放置すると急速な劣化の原因にもなりえます。
なお、太陽光パネルの清掃は素人が行うと大変危険です。必ず専門業者に依頼しましょう。
このように、「定期的なメンテナンス」と「発電量のモニタリング」を行えば、太陽光パネルの寿命を延ばすことができるでしょう。
最後に、太陽光パネルの保証についても触れておきます。
太陽光パネルに保証を付与している組織は大きく分けると次の3つです。
多くのメーカーは太陽光パネルに対して「出力保証」と「機器保証」を付与しています。
出力保証は太陽光パネルの出力値を一定以上に保つための制度です。条件はメーカーによって異なりますが、公称最大出力の90%を基準にしているメーカーも少なくありません。
一方、機器保証は太陽光パネルが故障した際に修理または交換するための制度です。こちらは太陽光パネルだけでなく、パワーコンディショナなどの周辺機器も対象である場合が多いです。ただ、保証期間は出力保証と比べて短く設定されています。
ちなみに、メーカーによっては「自然災害補償」も用意されています。これは火災や台風によって太陽光パネルが破損したとき、その損害を埋め合わせてくれる制度です。
販売施工会社では以上のようなメーカー保証をそのまま適用していますが、まれにメーカーと条件が異なる場合もありますので、事前によく確認しておきましょう。
保険会社の保証については「火災保険」や「動産総合保険」をチェックしておきましょう。これらは住宅にかけられている保険ですが、太陽光パネルも住宅の一部と見なされるため、保証の対象になるのです。ただ、メーカーの「自然災害補償」と併用はできませんので注意しましょう。
太陽光パネルを長く安定して運用するため、以上のような保証もうまく活用してくださいね。