産業用太陽光発電
産業用太陽光発電を設置する際に適用される固定価格買取制度、全量買取制度についてご紹介します。
産業用太陽光発電は、発電された電気を電力会社がその年度の売電価格に応じて買取ることで、発電者に売電収益を確保しています。
その買取価格及び買取期間は、経済産業大臣が毎年度の開始前に決定し、そのため専門家や有識者による調達価格等算定委員会等による見直しが行われます。
その買取価格を定めるにあたり、法施行後3年間は特定供給者の利潤に特に配慮するものとし、2017年度で6年目を迎えています。平成29年度の買取価格は、「21円+税/kWh」となり、買取期間は「20年」です。これは世界的に見てもプレミアム、つまり発電事業者にとって大変有利な条件となっています。
また、電力会社等の電気事業者が太陽光発電等で得られた再生可能エネルギーを調達するために、「賦課金」という形で支払った費用を電気の使用者に対して請求できることとなっております。つまり、一般家庭や事業所に1kWhあたり2.25円程度(平成29年4月分料金まで)の賦課金が課せられており、太陽光発電等の再生可能エネルギーはもはや他人事ではありません。
平成24年7月より、太陽光発電等の普及・拡大を目的に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」がスタートしました。従来の一般家庭等の住宅だけでなく、工場や学校等の住宅以外の建物屋上、そして野立てと呼ばれる地面に太陽光パネルを設置することが可能となりました。
さらに事業者がこの固定価格買取制度を利用した場合、電力会社は発電された電力全てを20年間、一定価格で買い取ることが義務付けられました。固定価格買取制度には全量買取と余剰買取の2種類があるのですが、全量買取は安定した売電が見込め収益性の高い事業を確立しやすいことから「産業用太陽光発電」とも呼ばれています。
ちなみに、発電容量が10kW未満(余剰買取)と10kW以上(全量買取)では買取価格や期間が異なり、平成29年度においては前者は28円(税込)/kWh(出力制御対応機器無し)と30円(税込)/kWh(出力制御対応機器有り)で10年間、後者は21円+税/kWhで20年間となります。
住宅用の買取価格(出力制御対応機器無し・出力制御対応機器有りについて)
※北海道電力・東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の需給制御に係る区域において、平成27年4月1日以降に接続契約申込が受領された発電設備は、出力制御対応機器の設置が義務付けられます。
平成24年度当初は、震災後の脱原発による社会的ニーズを汲んだ結果、全量買取制度をより利用してもらうことで太陽光発電の短期に多くの普及を目指していました。
ちなみに、全量買取の対象となるのは太陽光発電、風力発電、地熱発電、中小水力発電、バイオマスの5種類です。平成25年2月にデータでは、およそ170万kWの再生エネルギー発電設備が導入されており、その9割以上が太陽光発電となっていることが公表されています。(出典:経産省発表)
太陽光発電等の再生可能エネルギーの買取制度は「FIT(feed-in tariff」と呼ばれますが、実は世界で50ヵ国以上の国で採用されており、日本は比較的導入が遅い方であることが伺えます。ちなみに、再生可能エネルギー先進国と言われている国はドイツで日本は同国の制度を参考にしています。
また固定買取の価格は毎年見直しが行われ価格が決定されますが、これは前年度の市場の設備価格の低下に合わせて引き下げられているのです。つまり太陽光発電が普及することにより、パネル等のシステム単価が下がったことを確認していますので、固定買取価格が下がることは初期投資を抑えることが可能ということを裏付けています。
ちなみに住宅用と言われる余剰買取(10kW未満)の買取価格ですが、従来約24円/kWhでの買取りでした。
太陽光発電等のクリーンエネルギー発電の普及に力を入れようと政府は、平成21年11月に48円/kWhで10年間固定価格での買取をスタートさせます。従来の約2倍となる高額な売電価格、エコロジー等の環境意識の高い国民性が相まって、住宅用太陽光発電において日本は世界一の設置容量を誇るまでに成長しました。
下記の通り、年々価格が下がってきており、従来の24円/kWhで買い取っていた時代に近づいてきています。
平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | ||
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売電価格 | 出力制御無し | 42円/kWh | 42円/kWh | 38円/kWh | 37円/kWh | 33円/kWh | 31円/kWh | 28円/kWh |
出力制御有り | 35円/kWh | 33円/kWh | 30円/kWh |
住宅用の買取価格(出力制御対応機器無し・出力制御対応機器有りについて)
※北海道電力・東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の需給制御に係る区域において、平成27年4月1日以降に接続契約申込が受領された発電設備は、出力制御対応機器の設置が義務付けられます。
一方で産業用太陽光発電(10kW以上)の売電価格推移は、2012年7月の固定価格買取制度の発表により、大きなターニングポイントを迎えます。
平成22年度は24円/kWh、平成23年の6月まで40円/kWhという世界的にも高額な買取価格だけでなく、買取期間が20年間という長期に渡る安定性の高い売電収入が見込め、投資としての魅力を一気に増加したことにより産業用の大規模太陽光発電所が数多く設置されることになりました。
産業用の売電価格も余剰買取と同様に徐々に下がってきいます。
平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | |
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売電価格 | 40円+税/kWh | 40円+税/kWh | 36円+税/kWh | 32円+税/kWh | (4/1〜6/30) 39円+税/kWh |
24円+税/kWh | 21円+税/kWh |
(7/1〜) 27円+税/kWh |
全量買取制度とは? |
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平成24年7月より、太陽光発電等の普及・拡大を目的に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」がスタートしました。固定価格買取制度には全量買取と余剰買取の2種類があるのですが、全量買取は安定した売電が見込め収益性の高い事業を確立しやすいことから「産業用太陽光発電」とも呼ばれています。 全量買取の売電価格や期間はこちら。 |
売電価格はなぜ推移するのか? |
産業用太陽光発電(10kW以上)の売電価格推移は、2012年7月の固定価格買取制度の発表により、大きなターニングポイントを迎えます。世界的にも高額な買取価格だけでなく、買取期間が20年間という長期に渡ることから、安定性の高い売電収入が見込めるようになりました。 売電価格の詳しい推移はこちら。 |