産業用太陽光発電
土地に太陽光発電を設置することのメリットについてご紹介します。
遊休地として現在利用されていない土地は、これまでマンション・アパート経営や駐車場運営、もしくは賃貸や売却等が主な活用方法となっていました。しかし、方法によってはリスクや収益性も大きく異なっていきます。
例えば、駐車場経営は低い初期費用で抑えられますが、立地や周囲の環境などの高い条件をクリアしなければ安定した長期収入は得られない場合があります。またマンション・アパートは高額な金額を動かせやすいのですが、環境面での高い条件以外にも経済状況や人的要因等のリスクも高まります。
遊休地活用では、様々なリスクや要因によっては収益が安定しない事業計画に対して、初期費用や維持費用のための多額の借入を起こすのは非常に厳しい選択です。
そのような中、新たな遊休地・不動産活用方法として今大変注目を浴びている事業があります。それが2012年にスタートし、太陽光や風力等の発電された電力を長期にわたって買取ることを義務づけた、「再生可能エネルギー固定価格買取制度」という制度を利用した事業です。
この制度により、産業用としての太陽光発電事業が可能となったことで、これまで利用用途のなかった郊外の遊休地だけでなく、広い工場や事業所の屋根を利用できる等といった不動産活用方法として新しい選択肢が増えました。
そこで、今回は発電事業の中でも注目を集めている「産業用太陽光発電」と、その他の土地活用方法とを比較していきたいと思います。
まずはじめに、駐車場として土地活用を行うケースについて考えてみましょう。
駐車場は主に「月極」か「コインパーキング」に大別することができます。前者は、利用者と事前に契約することで毎月利用料を徴収することができ、コインパーキングと比べると初期費用が大きく掛からないのが特徴的です。一方で、コインパーキングは都市部の住宅地や繁華街に設置されているケースが多く、料金も月極と比べると1時間あたりの単価が非常に高いので、利用率が高いところでは大きな収益を得ることが可能です。
しかし、周辺の環境に最も影響されやすいうえに、コインパーキングの料金と昇降バーを管理する装置などの費用が高額であり、その維持費用などを考えると相当な収益が必要となります。ひとえに駐車場と言っても、充分な検討と資金が必要であることがうかがえます。
次に、遊休地・不動産活用で最も多く人気のあるケース「マンション・アパート経営」について考えてみましょう。もしその遊休地が駅から近かったり、スーパーや学校などの周辺環境が良い立地であれば、マンション・アパート経営は非常に効果的であると言えます。またマンション販売であれば賃貸に比べると短期間で収益を得ることができるため、人気の高い遊休地・不動産活用方法となっています。
しかし、すでにそういった場所に土地をお持ちであれば不動産取得費用は掛かりませんが、そのような人気のある土地は坪単価が非常に高額となっております。またマンションもすべての部屋が必ず販売できるとは限りませんので、経営の方もより慎重に進めていかなければ多額の建築費用のみが降り掛かってしまい、最悪の場合は元金確保のために値段を下げて販売せざるを得ない状況となります。
このように、不動産土地活用は人気があるからと言って必ず利益が確約されたわけではなく、リスクや将来の不安があるのです。
一方で、産業用太陽光発電における「固定価格買取制度」は買い手が国に限定されているだけでなく、20年間(+再契約可能)の安定した収益が確約されています。また太陽光発電システムは設置するとあとは定期的な点検とメンテナンスのみで充分なので、マンションやアパート等のように高額な施設の維持費用は必要ありません。
つまり、初期費用・運用コストも限定的でありながら国家が長期的な買い手であるという安心感は、これまでの他の遊休地・不動産活用では味わうことはできないでしょう。このように、リスクや安心感から見ると「産業用太陽光発電」は、非常に魅力のある遊休地・不動産土地活用であることがお分かり頂けたかと思います。
太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーによって、遊休地や休耕畑の新しい利活用方法が誕生しました。そしてさらに再生可能エネルギー発電を中心に、設置事業者だけでなく土地所有者や不動産業者、産業分野においても活性化させることに成功しています。
そのような中、再生可能エネルギーを活用して地域をより活性化させようと、各地域の自治体による導入事例が増加傾向にあります。その中でも、高知県の梼原町においては町内で利用されるエネルギーを100%賄おうと、つまり完全自給を目標に再生可能エネルギー固定価格買取制度の対象である「風力発電」を積極的に導入しています。
同町は、風力発電以外にも限られた資源を循環利用するモデル事業を積極的に推進しており、再生可能エネルギーや最先端の資源リサイクルをいち早く導入することによって、地元のPRにもつながり結果的に地域活性化へと見事に結びつけています。
その他の地域においても同様の事例が多数見られる中、再生可能エネルギー利活用プロジェクトに対して地元の市民や企業による資金調達を行う動きも各地域で展開しており、単なる売電収益の事業ではなく、地域のその先を見据えた新しい活性化を目標に、そして実現しているモデルケースが誕生しています。
このような地域活性化対策も含めた再生可能エネルギーの普及は、将来の子供たちへとつながる地域の大切な資産となります。豊かな自然環境が残るだけでなく、安心で安全な長期的な収益も確保することで地元産業もより活発となり就職先も安定します。地元の子供が残ることができる環境が一番の地域活性化であるため、自治体はこうしたビジョンを持って再生可能エネルギーを中心とした事業に積極的に取り組んでいます。