産業用太陽光発電
産業用太陽光発電の設置に適している土地の特徴についてご紹介します。
産業用太陽光発電は、10kW以上の太陽光発電システムの容量が必要となりますが、上限に関しては特に定めはありません。しかし、50kW以上の発電容量を超えると電力会社との契約形態が高圧連係となり、この場合通常に比べて基本料金やその他維持管理費用が高額になってしまいます。
そのため、産業用太陽光発電の計画を進める場合は、10kW以上50kW未満を1つの区画として考える方がベストだと言われています。もちろん土地のスペースがあれば区画数の上限はありませんので、大規模に産業用太陽光発電を設置したい方はその区画を増やしていくことが可能となります。
そこで、産業用太陽光発電の設置に必要な土地面積を、倉庫や工場等の「建物上の場合」と空き地・遊休地等の「地上の場合」とに分けて、次の通りにまとめてみました。
太陽光発電システム | 倉庫・工場などの傾斜屋根に 設置する場合 |
遊休地・空き地など地上に 設置する場合 |
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10kW | 30.25坪 | 45.48坪 |
20kW | 60.5坪 | 90.75坪 |
30kW | 90.75坪 | 136.13坪 |
40kW | 121坪 | 181.5坪 |
50kW | 151.25坪 | 226.88坪 |
ちなみに同じシステム容量でも建物と地上とによって必要面積が異なるのは、地上設置である「野立て」の場合、安全確保の為に周囲をフェンスで囲まなければならないという義務が発生するためです。
またパワーコンディショナー等の装置を設置しなければなりませんので、建物がある場合はそのまま屋内に設置できますが、遊休地等の場合は保管庫を新たに設ける必要があります。
よって、産業用太陽光発電の必要面積の目安としましては、建物上の場合は1kWあたり10平米(約3坪)、地上設置の野立ての場合は1kWあたり15平米(約5坪)となります。
もちろん、土地の形状や環境によってこの限りではございません。
産業用太陽光発電に向いている遊休地は、太陽光パネルのメリットを最大限に活かして設置できるように、下記のような土地が特徴となります。
・なるべく長方形に近い形状であること(パネル設置後、余分なスペースがないように)
・朝日、夕日の遮りが少ないこと(せっかくの発電量が高いパネルも半減となるため)
・平坦であること、荒れていないこと(土地造成費用が高額となるため)
・農地でないこと(農地転用手続きが必要)
・景観条例指定のない土地であること(観光地、景勝地、保存地区等は設置できない場合あり)
これらの遊休地を最大限に活用するためには、太陽光パネルの1枚あたりの出力数(W)と外形寸法(サイズ)が非常に重要となります。例えば、太陽光発電システム10kWを設置するには一体どのくらいの面積が必要になるのでしょうか。
今回は、東芝製250Wと三菱製207Wの太陽光パネルを簡単に比較してみることにしましょう。
東芝製太陽光パネルは、出力数250Wと高い発電量ながら1枚のサイズは1,559mm×798mmとコンパクトなので、少ない面積でも非常に高い発電効率が期待できます。ただ、市場にあまり出回っていないので比較的導入コストは高くなります。
一方で三菱製太陽光パネルは、出力数207Wでサイズは1,657mm×858mmと約10cm近く長辺が大きいです。なお、現在市場に多く出回っているタイプのため比較的導入コストを抑えることが可能です。
東芝製太陽光パネル | 三菱製太陽光パネル | |
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素材 | 単結晶 | 単結晶 |
出力数 | 250W | 207W |
外形寸法 | 46×1,559×798(高さ×幅×奥行) (mm) | 46×1657×858(高さ×幅×奥行) (mm) |
10kWの必要枚数 | 40枚(10kW) | 49枚(10.143kW) |
10kWの必要面積 | およそ15坪 | およそ20坪 |
市場価格 | 流通が少ないため、高額になりやすい | 流通が多いため、パネル単価を抑えやすい |
このように遊休地に設置することができる産業用太陽光発電は、太陽光パネルの選択によって必要枚数や面積が大きく変わってくることが分かります。
土地のスペースに余裕がない場合は、高額ながらも少ない面積で多く発電することが可能なタイプ、スペースに余裕がある場合は1枚あたりの単価を抑えることができるタイプを選択することをお勧めします。
なるべく前述の産業用太陽光発電に適した土地の条件に、費用対効果の取れた太陽光パネルを無駄なく適切な数を設置することが、長期的に安定した売電収益を得るポイントとなります。
次に産業用太陽光発電において重要となるのが、太陽光発電システムの直接的な費用ではない「間接的なコストの発生」です。それはつまり、これまで利用されていなかった遊休地に太陽光発電システムを設置することにより、システム導入費用以外の電柱新設費用や土地造成、手続きコストなどが発生する場合があります。
産業用太陽光発電に適した土地にするために
電柱、電線が近くまで設置されていない→電力会社による電柱新設工事
既設電柱はあるが予定電圧に耐えられない→電力会社による電柱取替工事
平坦な土地、すぐに使用できる状態ではない→土木業者による造成工事
農地に設置したい→農地転用の手続きが必要
発電事業に制限のかかる土地→景観条例、景観保存地区、観光地などは対象となる場合あり
このように、産業用太陽光発電の発電所を建設するためにはシステムの直接的な費用以外に、間接的な費用や調査・手続きの時間コストなども考慮しなければなりません。
遊休地において、太陽光発電システムに適した土地を探すのは厳しい面もありますが、メンテナンスフリーと言われている太陽光発電事業はこの事前調査が10割と言われています。
すべての条件が揃えば今後何十年と安定した売電収益を得ることが可能となりますので、まずは所有の土地がこれらの条件に適しているかを確認してください。また、これから土地を探される場合は優先順位を明確にして、条件に漏れがないように注意して検討していきましょう。
産業用太陽光発電に必要な面積はどれくらいか? |
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産業用太陽光発電の設置に必要な土地面積は、倉庫や工場等の「建物上の場合」と空き地・遊休地等の「地上の場合」とに分けて考える必要があります。なお、システム容量は10kW以上50kW未満を1つの区画として考えるのがベストだと言われています。 システム容量、屋根・地上ごとに必要な坪面積はこちら。 |
どんな土地が産業用太陽光発電に向いているのか? |
太陽光発電に向いている土地には、いくつかの条件があります。たとえば、「長方形に近い形状である」「平坦で荒れていない」「朝日、夕日の遮りが少ない」などです。また、その土地に適した太陽光パネルを選ぶことも重要です。 太陽光パネルの選び方はこちら。 |