住宅用太陽光発電
太陽光発電を検討する場合、メーカーの情報収集は欠かせません。いまは大変便利な世の中で、ネットから多くの情報が得られます。しかし、日本であまり知られていなく、情報を探しにくい海外メーカーも存在します。本記事では、そんな海外メーカーの一つ、アメリカのファーストソーラーについて詳しく紹介したいと思います。
ファーストソーラーはアメリカの大手太陽光発電メーカーです。
ファーストソーラーは1999年の創業以来、主に大規模発電所向けに太陽光パネルを製造・販売。これまで25GW以上の太陽光パネルを設置、また4.7GWを超えるメガソーラーを世界各国に設置してきました。
ファーストソーラーの強みは、太陽光発電システムの設計から施工までワンストップで手掛けるEPC事業や、太陽光発電システムの運営や保守を請け負うO&M事業です。
そんなファーストソーラーは2021年、オハイオ州に3つ目の工場を建設すると発表。米国の太陽光発電のシェア拡大を見越し、生産能力の増強を図るようです。投資額は6億8000万ドル、新規雇用者は約500人、稼働開始は2023年を予定。
同工場の生産能力は年間3.3GWと言われており、これは全米最大級です。既存の2つの工場と合わせると、ファーストソーラーの米国内の生産能力は年間6GWに到達します。
オハイオ州の3つの工場に加え、ベトナムとマレーシアにも工場を持つファーストソーラーは、メガソーラー市場でますます存在感を高めていきそうです。
世界中で太陽光発電の導入実績を誇るファーストソーラー。
では、日本における導入実績はどうでしょうか。
ここでは、日本におけるファーストソーラーのめぼしい実績を紹介していきます。
ファーストソーラーは現在、京都府南山城村でメガソーラー「南山城村・伊賀市太陽光発電所」の建設を進めています。
同発電所の太陽光パネルの総出力は60.5MW、連系出力は37.5MWです。これにより、約1万5000世帯分の消費電力をまかなえると言われています。
なお、運転開始は2022年12月を予定しています。
ファーストソーラーは2020年より、栃木県那須エリア2カ所で太陽光発電所の建設工事に着手しています。
ちなみに、これは東芝エネルギーシステムズとの共同プロジェクトです。
同発電所の合計総発電容量は60MW。運転開始は2023年4月を予定しています。
ファーストソーラーは2018年にメガソーラー「石川沢川太陽光発電所」を建設しました。
同発電所の敷地面積は約163ヘクタール、パネル設置面積は約70ヘクタール、出力容量は59.52MWです。
これは北陸地方の太陽光発電所としては最大規模です。
以上が、日本におけるファーストソーラーの太陽光発電の導入事例です。
やはり日本でも、ファーストソーラーはメガソーラーと呼ばれる大規模な太陽光発電を手掛けているようです。
一方、住宅用の太陽光発電の導入事例は見当たりませんでした。
ファーストソーラーの太陽光発電の特徴は3つあります。
それぞれの特徴について詳しく紹介していきます。
一般的に、太陽光発電メーカーは品質管理の一環として、外部の認証機関で品質試験を実施しています。
もちろん社内でも品質試験は行いますが、公的な認証機関を利用することで信頼性を強くアピールできるのです。
さて、ファーストソーラーの太陽光発電は、世界の名だたる認証機関からさまざまな認証を取得しています。
例えば、アメリカの「CSI」や「FSEC」、イギリスの「MCS」、オーストラリアの「CEC」、イスラエルの「Sll」、ブラジルの「InMetro」、日本の「JET」など世界各国の認証機関から品質を保証されています。
なかでも特筆すべきは、「スレッシャー試験」「長期連続試験」「ATLAS 25+」という3つの耐久試験をクリアしている点でしょう。これは世界でも指折りの実績です。
ファーストソーラーはテルル化カドミウム太陽電池を用いた太陽光パネルを使用しています。
テルル化カドミウム太陽電池の原料は、カドミウムとテルルという2つの元素を主とする化合物半導体です。
このような太陽光パネルは化合物系と呼ばれ、従来のシリコン系とは区別されます。
化合物系の太陽光パネルの特徴は、光を吸収しやすく、より多くの発電量を確保できることです。
実際に、ファーストソーラーの太陽光パネルはシリコン系の太陽光パネルに比べて、世界各地で発電量の優位性を証明してきました。
ファーストソーラーは「持続可能な太陽光発電のグローバルリーダー」として、地球に優しい太陽光発電を追求しています。
ファーストソーラーが注力しているのは次の3点です。
カーボンフットプリントについては、ファーストソーラーの薄膜太陽電池技術は従来のシリコン系太陽電池と比較して、二酸化炭素の排出量を約半分に抑えています。
エネルギー回収年数については、ファーストソーラーは業界最速を記録しています。ちなみに、エネルギー回収年数とは設備完成までに要した二酸化炭素排出量を相殺するために必要な運転期間のことです。
水の使用量については、ファーストソーラーは2009年より1Wあたりの水使用量を約30%削減しています。また、ファーストソーラーの太陽光パネルは運転中に水を一切使用しない設計です。
ファーストソーラーの太陽光パネルの種類は以下の2つです。
では、各パネルの仕様を見てみましょう。
タイプ | Series 4 | Series 6 |
---|---|---|
定格出力 | 105.0-117.5W | 420W |
モジュール変換効率 | 14.6-16.3% | 17% |
外形寸法 | 1200×600mm | 1232×2009mm |
重量 | 12kg | 36kg |
なお、どちらのパネルも、主に産業用としてプラントなどで使用されているようです。
そのため、パネル個々の性能を上げるよりも、生産コストを下げることを重視しているようです。
一方、住宅用の太陽光発電の場合は、設置面積が小さくなるので、パネル個々の性能がより重要になります。
ただ、住宅用太陽光パネルと一口に言っても、メーカーによって性能はさまざまです。
住宅用太陽光発電を検討するのであれば、ぜひ色々なメーカーの性能を比較してみてくださいね。