産業用太陽光発電
ソーラシェアリングとはなにか、またソーラーシェアリングでの太陽光発電の設置が許可される条件についてご紹介します。
産業用太陽光発電制度の誕生により、遊休地や空き地で太陽光発電事業を行えるようになりました。そこで、農地や田んぼといった営農と共存できる発電事業「ソーラーシェアリング」が注目されています。
ソーラーシェアリングとは、現在農業をしている畑地や田んぼ等に、太陽光発電システム用の支柱を立てて、その下でこれまで通り作物を育てることができるようにするものです。作物は太陽に当たることで育ちますので、当然ながら太陽光パネルで日光を遮ってしまっては元も子もありません。
今では様々な研究や実験を重ねてきたことにより、太陽光パネルの配置の仕方によっては「作物の生育を妨げない」だけではありません。作物に影響していた雨風を適切に遮ることでさらに効率的な営農を実現することが可能となっており、ソーラーシェアリングはより身近な存在へと発展しています。
しかし、ソーラーシェアリングは特別な架台や設備などから、通常の太陽光発電システムと比較すると1kWあたりの導入単価がプラス5万円となると言われています。初期投資が想定以上に高くなることは、事業主の大きな負担になるだけでなく、発電事業の収益計画に大きく影響が出てしまいますので注意する必要があります。
農業と共存できる太陽光発電システムとして注目を集めているソーラーシェアリングですが、農地での利用許可を得るためにはいくつかの条件があります。
まず農地転用許可を得た後に、太陽光パネルを設営するための支柱に対しても一時転用の許可を取らなければなりません。その一時転用許可については下記の様に定められています。
1. 発電システムを設置した農地における営農に支障をきたさないことを前提とし、支柱は発電システムを支えるためのものとして利用されること。
2. 発電システムを設置した農地において生産された農作物に関する状況を年に1回報告すること。
3. 営農の継続が怪しくなった場合には、迅速に改善措置をとること。
4. また改善措置を取る場合や、発電事業を廃止する場合には素早く報告すること。
5. 営農が行われていない場合や発電事業を廃止する場合には、支柱を含む発電システムを速やかに撤去し、農地として利用することができる状態に回復すること。
農業と共存できる太陽光発電システムとして注目を集めているソーラーシェアリングですが、農地での利用許可を得るためにはいくつかの条件があります。
まず農地転用許可を得た後に、太陽光パネルを設営するための支柱に対しても一時転用の許可を取らなければなりません。その一時転用許可については下記の様に定められています。
1. 営農が行われない場合
2. 農地における単収が、同じ年の地域の平均的な単収と比較しておおむね2割以上減少している場合
3. 農地において生産された農作物の品質に、著しい劣化が生じていると認められる場合
4. 農作業に必要な機械等を効率的に利用することが困難であると認められる場合
これまで、ソーラーシェアリングは第2種・第3種農地と呼ばれる条件の土地であれば農地転用の問題は発生していませんが、第1種以上の農地においては転用は一切認められておりませんでした。しかし、農業と共存するソーラーシェアリングの実績が認められ、平成25年3月31日付で農林水産省によって「農用地区域内農地」「甲種農地」および「第1種農地」についてもソーラーシェアリングが条件付きで認められることになりました。
このように、ソーラーシェアリングに関わる国家の動きは活発になってきています。
それでは、ソーラーシェアリングに適した農作物はどのようなものでしょうか?
植物は光が当たることで成長しますが、実はほとんどの植物にはその光の量が一定の範囲を超えた場合は、それ以上成長しないという特長があります。それを「光飽和点」と呼びます。光飽和点を持っている植物は「C3型植物」と呼ばれていますが、このC3型植物は下記の通りとなっています。
作物名 | 光飽和点(klx) |
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トウモロコシ | なし |
作物名 | 光飽和点(klx) |
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スイカ | 80 |
トマト | 70 |
作物名 | 光飽和点(klx) |
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きゅうり | 40~55 |
稲 | 40~50 |
ナス | 40 |
えんどう | 40 |
ブドウ(巨峰) | 40 |
桃(白鳳) | 40 |
梨(幸水) | 40 |
いちじく | 40 |
作物名 | 光飽和点(klx) |
---|---|
レタス | 25 |
ミツバ | 20 |
シンビジウム | 10 |
プリムラ | 10 |
シクラメン | 15 |
アザレア | 5 |
ちなみに、光飽和点のない植物はC4型と呼ばれています。このC4型植物はトウモロコシやサトウキビなどの植物が該当しますが、太陽に当たれば当たるほど成長していくため、このような作物とソーラーシェアリングは相性が良くないと言われています。
また、トマトやスイカといった光飽和点が高い作物も、ソーラーシェアリングを行うにあたりリスクが高くなってしまいますので注意が必要です。
一例としまして、静岡県のある農家ではサトイモと稲をパネルの下で生育させることに成功しております。そこでは、パネルの間隔を通常より倍以上に広げて設置し、また回転式架台を採用することによって天候に合わせて自由に調整することが可能となっています。
さらに、強すぎる直射日光によって葉が日焼けすることを防ぐ効果もありますので、作物の種類によっては非常に効率的な営農型太陽光発電が実現可能となっています。
ソーラーシェアリングとは? |
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ソーラーシェアリングとは、農地や田んぼといった営農と共存できる発電事業を指します。現在農業をしている畑地や田んぼ等に、太陽光発電システム用の支柱を立てて、その下でこれまで通り作物を育てることができるようにするものです。 ソーラーシェアリングのメリット・デメリットはこちら。 |
ソーラーシェアリングを開始するには? |
まず「農地転用」の許可を得ることが必要です。その後、太陽光パネルを設営するための支柱に対しても一時転用の許可を取らなければなりません。 農地転用の許可を得るための条件はこちら。 |