産業用太陽光発電
同じ場所に太陽光発電を設置しても、パネルの設置角度によって発電量は大きく変化します。地域ごとの最適設置角度の調べ方と設置角度を調整することで発電量が増加した事例についてご紹介します!
太陽光発電システムの発電量を最大にするには屋根(太陽光発電パネル)の方位と傾斜角を最適なものにしなければなりません。
方位は真南が最適ですが、屋根の傾斜角は設置地点の年間の日射量変動を考慮した最適な値があります。年間最適傾斜角とは年間で最大の日射量(直達+散乱)が得られる屋根角度で地域により異なり、日本国内では概略10~40度だと言われています。
では、そのような最適角度はどうやって調べたら良いのでしょうか。
そこで大変参考となる情報が、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が提供している日射量データベースです。
NEDOは長年に渡り日射量に関するデータを採取管理しており、特にメガソーラー建設支援ツール、日本における風力発電設備導入実績、バイオマス賦存量・利用可能量の推計 GISデータベースなどのデータベース/ツールとして、インターネットで誰でも利用できるようにシステム公開しています。
そのシステムの一部に、年間月別日射量データベース(MONSOLA-11)というものがあります。これは、国内837地点・29年間(1981~2009年)の日射量データベースを用いており、方位角別、傾斜角別の月間総日射量を表示でき、年間・月間発電量を推定することに活用できます。
それでは、ここで上記のデータベースより主要地域別に月別最適設置角度をご紹介します。対象地域は、関東・東北・九州の地域と、発電効率1位の長野県、発電量1位の沖縄県の5エリアとなっています。
ここから地域別の月別及び年別、季節別の太陽光パネルの最適設置角度が把握できます。時期別に見ますと、どの都市も4月頃から太陽の角度は高くなっていき、8月を最大ピーク、12月を最小ピークに日射量も徐々に変動している事が予想できます。
地域別に見ますと、当然ながら南に行くほどその設置角度は低くなり、那覇市においては驚くべき事にマイナス表示となっています。これは太陽が0度以下に位置する訳ではなく、あくまで太陽日射を最大で受け止める為の推定屋根角度となっているのでご注意下さい。
一般的に太陽光パネルの設置角度は、屋根角度や架台に一度設置すると簡単に変更する事はできません。よって、最適な設置角度は年間の最適設置角度を採用することになりますが、その数値より「マイナス5度程度」を採用する事がベストだと言われています。新築や改築での屋根調整や架台等の導入を検討されている方は、ぜひご参考及びご活用ください。
「1MWのメガソーラーの年間発電量の目安は100万kW。これを9カ月あまりで達成」
そんな快挙を達成したその設置場所は、発電効率一位の長野県、発電量一位の沖縄県でもなく、新潟県燕市だったのです。では、一体どのようにして実現する事に成功したのでしょうか。
2012年7月に「メガソーラーTSUBAME Site」として、新潟県燕市に設置された1MWのメガソーラー施設。当初の見積もりでは、年間発電予想量は96.1万kW(キロワット)でしたが、運用開始後はすべての月において予想発電量を大きく上回ったそうです。
その要因として挙げられているのが、「角度が変えられる設計」が功を奏したとのこと。つまり、このメガソーラーでは太陽光パネルの設置角度を段階的に変えられるように設計しているのです。
例えば、冬場は48度に設定していますがこれは太陽高度が低くなる事に合わせる意味合いと、冬期は20〜70cm程度の積雪をパネルから滑り落ちやすくするためです。一方で、夏は18度としています。
そこで、メガソーラーの設計段階から太陽光パネルを支えている軸を回転させる事で、仰角を変更できる太陽光発電システムを検討し採用しているのです。変換効率が高い太陽光パネルやパワーコンディショナーを利用する以外にも、パネル配置や角度調整などの優れた設計が発電量に直結するということがお分かり頂けると思います。
太陽光パネルの最適角度とは? |
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太陽光発電システムの発電量を最大にするには屋根(太陽光発電パネル)の傾斜角を最適なものにしなければなりません。日本国内では、地域により異なりますが、概略10~40度が最適角度だと言われています。 地域別の最適設置角度はこちら。 |
設置角度の調整で、発電量はどのくらい変わるの? |
「設置角度の手動調整で、発電量5割増」。そんな実績を持つのは、発電効率一位の長野県、発電量一位の沖縄県でもなく、新潟県燕市です。 新潟県燕市の詳しい運用実績はこちら。 |