蓄電池
オフグリッドやカーボンニュートラルの実現に向け、家庭用蓄電池の普及が期待されています。そのため、数多くのメーカーが家庭用蓄電池を販売しており、選ぶ側としては迷ってしまうかもしれません。本記事では、フォーアールエナジーの家庭用蓄電池を取り上げます。同製品は販売終了となりましたが、特徴や保証について気になる方はぜひご覧ください。
フォーアールエナジーは2010年に日産自動車と住友商事とによって設立されました。
フォーアールエナジーはEV(電気自動車)の持続可能性を追求するため「4R事業」に従事しています。
「4R事業」とは「Reuse(再利用)」「Resell(再販売)」「Refabricate(再製品化)」「Recycle(リサイクル)」を推進するものです。
フォーアールエナジーはEVに搭載されているバッテリーを用いて「4R事業」を展開。EV用バッテリーを社会インフラや商業施設の蓄電設備に再利用しています。
EVに搭載されるバッテリーは非常に容量が大きいため「4R事業」に適しているのです。
なお、このようなフォーアールエナジーの「4R事業」は、蓄電システムの低価格化にも貢献しています。
フォーアールエナジーは「4R事業」の一環として、家庭用蓄電システムも手掛けています。
2014年に、日産リーフ用リチウムイオンバッテリーを使用した家庭用蓄電池「エネハンド」を発売。しかし、2019年に「エネハンド」の販売を終了します。
その後、フォーアールエナジーは家庭用蓄電池の販売は行っておりません(2021年時点)。
なお、稼働中の「エネハンド」に関しては、保証およびアフターサービスが継続されています。
フォーアールエナジーの家庭用蓄電池「エネハンド」には、10年間のメーカー保証が付与されます。
ただし、同社による定期点検を受けることが条件です。定期点検は設置から1年、5年、9年のタイミングで計3回実施されます。なお、定期点検は無償で受けられます。
メーカー保証に加入していれば、「エネハンド」に不具合や故障が見つかった場合に、フォーアールエナジーの認定業者が修理にきてくれます。
ちなみに、保証期間の10年を過ぎていても、有償であれば認定業者による修理を受けられます。
「エネハンド」の定期点検および修理に関する問い合わせは、以下の専用窓口をご利用ください。
ただし受付時間が販売元によって異なります。
販売元 | 受付時間 |
---|---|
フォーアールエナジー | 平日 9:00~22:00 土日祝 9:00~18:00 |
正興電機 | 平日 9:00~17:30 土日祝 緊急連絡先 092-943-7181 |
フォーアールエナジーの家庭用蓄電池「エネハンド」の特徴は3つあります。
それぞれの特徴について以下で解説します。
家庭用蓄電池「エネハンド」の運転モードは次の3つです。
これらの運転モードは、蓄電池に貯めた電気の使い道に合わせて設計されています。
蓄電池に貯めた電気の使い道は、大きく分けると「自家消費」か「売電」かのどちらかでしょう。
「自家消費」が目的であれば、フルコントロールモードを選択します。
フルコントロールモードは、消費電力が少ない昼間などに電気を貯めておき、消費電力が増える夜間などに放電します。そのため電気の購入量が抑えられ、より節電効果が高まるでしょう。
「売電」が目的であれば、深夜電力モードまたはエコノミーモードを選択します。
深夜電力モードは、太陽光発電を行いながら蓄電池で電気を供給する、いわゆる「ダブル発電」の設定なので、売電するための電気量を増やせます。
一方、エコノミーモードは「ダブル発電」を避けながら売電を行う設定です。というのも、「ダブル発電」を行うと売電単価が下がるというデメリットも生じるためです。
家庭用蓄電池「エネハンド」の容量は12kWhです。
これは業界でも最大級の容量で、一般的な4人家族の1日の消費電力に相当します。
さらに、「エネハンド」はそれだけ容量があるにもかかわらず、サイズはコンパクトです。
奥行が310mmというスリムデザインなので、見た目もスタイリッシュで、設置場所の選択肢も広がります。
家庭用蓄電池「エネハンド」は、停電時でも家全体の電力をバックアップできるよう設計されています。
12kWhという大容量に加え、200V機器にも対応しているので、エアコンや冷蔵庫も稼働させられます。
また、家全体のコンセントに送電できる全負荷型なので、部屋数が多い家やオール電化の家でも安心です。
なお、「エネハンド」の停電時の出力は3.0kWですが、エネフォームと組み合わせて出力を増やすことも出来ます。
以上のように、フォーアールエナジーの家庭用蓄電池「エネハンド」はさまざまな強みを持っています。
しかし、販売終了となっているため、新規で設置することができません。
そこで、「エネハンド」と特徴が近い蓄電池を紹介したいと思います。
一つは、京セラが販売する蓄電池「Enerezza」です。
「Enerezza」は最大15kWhという大容量に加え、薄型サイズで設置しやすいという特徴を持っています。
また、「売電重視」と「節電重視」とに沿った2つの運転モードが用意されています。
>>京セラの話題の蓄電池「Enerezza」とは?太陽光発電との連携・価格・保証についても解説
もう一つは、伊藤忠商事が販売する蓄電池「スマートスター3」です。
「スマートスター3」の容量は、業界最大級の13.16kWhです。
また、停電対策の面でも優れており、「200V機器対応」「全負荷型」といった特徴を持っています。
>>家庭用蓄電池「スマートスター」は停電時も安心!?AI機能・太陽光発電との連携についても解説
以上2つが、フォーアールエナジーの家庭用蓄電池「エネハンド」と特徴が近い蓄電池です。
家庭用蓄電池はメーカーによって特徴が異なります。ぜひご自身の環境やライフスタイルにピッタリ合うものを見つけてくださいね。