住宅用太陽光発電
太陽光発電システムの中核をなすパワーコンディショナー。その寿命は10~15年と言われています。パワーコンディショナーは寿命が近づくにつれ徐々に発電効率が落ちていくため、早めの交換を考えている方も多いのではないでしょうか。本記事ではパワーコンディショナーの基礎知識から交換する際の注意点まで詳しく解説していますので、「パワーコンディショナーの交換で失敗したくない」という方はぜひ参考にしてくださいね。
パワーコンディショナーとは太陽光発電システムを構成する機器の一つです。
太陽光発電システムの中で、パワーコンディショナーは主に3つの役割を担っています。
それぞれの役割について詳しく見ていきましょう。
電気には「直流」と「交流」の2種類があります。
家庭で使用されている電気はすべて「交流」ですが、太陽パネルで発電される電気は「直流」です。
つまり、家庭で太陽光発電システムを活用するためには「直流」を「交流」に変換する必要があり、それを可能にしているのがパワーコンディショナーなのです。
ちなみに、太陽光発電を用いて売電を行う場合も「直流」から「交流」に変換するため、パワーコンディショナーは欠かせません。
パワーコンディショナーには「MPPT(最大電力点追従)」と呼ばれる機能が備わっています。
これは気象条件や設置環境によって変化する、太陽光発電システムの最適動作点を追従する機能です。
太陽光発電の発電量は天候に大きく左右されます。そして天候は一日の中でも絶えず変化するものです。
MPPT機能があることで、その時々の天候における最大効率の太陽光発電が可能になるのです。系統連系とは太陽光発電システムと電力会社の電力系統を連携させる仕組みで、太陽光発電の余剰電力を売電するために利用されています。
ただ、この仕組みはどちらか一方の電力系統にトラブルが発生した場合、もう一方の電力系統にも被害を与えてしまうリスクをはらんでいます。
そこで、パワーコンディショナーには周波数や電圧の異常を察知し、系統連系を遮断する機能が備わっているのです。
そのため急な停電が起きた場合でも、太陽光発電が稼働していれば家庭の電化製品を問題なく使用できます。
冒頭で述べた通り、パワーコンディショナーの寿命は10~15年と言われています。そして、寿命を過ぎると変換効率が落ちるため、使用できる電気量や売電量が減ってしまいます。
つまり、太陽光発電システムを効率的に使い続けるためには、パワーコンディショナーの修理または交換が必須なのです。
では、パワーコンディショナーが寿命を迎えた時、「修理」と「交換」のどちらを選ぶべきなのでしょうか。
パワーコンディショナーの「修理」と「交換」にはそれぞれメリットとデメリットがありますので、太陽光発電の設置年数や今後の活用方法を考えた上で判断しましょう。
そこで、「修理」と「交換」のメリットとデメリットを以下にまとめました。
パワーコンディショナーの修理のメリットは費用を抑えられることです。パワーコンディショナーの交換費用はおよそ20万円ですが、修理であれば必要最低限の部品交換で済むため費用も削減できるでしょう。
一方、パワーコンディショナーの修理のデメリットは保証が更新されないことです。一般的に、太陽光発電システムには設置時にメーカー保証が付与され、保証期間内であれば無料で修理交換が受けられます。そして保証期間を過ぎても、交換した機器に対しては再び保証が付与されます。しかし、修理した機器はその限りではありません。
パワーコンディショナーの交換のメリットは変換効率を上げられることです。パワーコンディショナーの技術も日進月歩ですので、最新モデルと交換すれば太陽光発電システムの発電量を大幅に向上させられるかもしれません。
また、ハイブリッド型パワーコンディショナーと交換する選択肢もあります。これは太陽光発電と蓄電池を併用する場合に役立つパワーコンディショナーですが、詳しく後述します。
パワーコンディショナーの交換のデメリットは周辺機器との互換性の問題が発生しうることです。場合によっては操作パネルなどの周辺機器も交換する必要がでてくるため、そのぶん費用がかさんでしまうことがあります。
「パワーコンディショナーを交換したいけど、どれを選べばいいの?」
こんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
そこで、パワーコンディショナーのタイプについて紹介していこうと思います。
パワーコンディショナーは大きく分けると「単相式」と「三相式」の2タイプです。
単相式パワーコンディショナーは低電圧で安全性が高いため、家庭やオフィスで使用されます。一方、三相式パワーコンディショナーはより多くの送電が可能なので、工場や発電所に使用されます。
つまり、住宅用太陽光発電システムに用いられているのは単相式パワーコンディショナーです。
ところで、住宅用太陽光発電システムで注目されているパワーコンディショナーのタイプがあります。それが、前述したハイブリッド型パワーコンディショナーです。
ハイブリッド型パワーコンディショナーの利点は、太陽光発電と蓄電池を1台で制御できることです。そうすることで電気変換の回数を減らし、電気ロスを削減できるのです。つまり使用できる電気量が多くなります。また、パワーコンディショナーを1台にまとめることで設置スペースの節約にもなります。
そのため、太陽光発電のパワーコンディショナーを交換するタイミングで蓄電池の設置を検討する方も多いようです。
ただ、ハイブリッド型パワーコンディショナーは通常のパワーコンディショナーよりも高価格です。太陽光発電か蓄電池どちらか一方しか設置しないのであれば選択肢から外していいでしょう。
ここではパワーコンディショナーのおすすめメーカーを3つ紹介します。
いずれも太陽光発電や蓄電池を手掛けているメーカーです。
では、各メーカーの特徴を紹介していきます。
シャープは「その住宅に最も合った太陽光発電システム」の提供を実践しています。そのため、パワーコンディショナーのラインナップも豊富で、ハイブリッド型を含むさまざまなタイプから選ぶことができます。
ネクストエナジーは価格・性能・保証のすべてをカバーしたバランスの良い太陽光発電システムを提供しており、また蓄電池の製造も手掛けています。そのため、パワーコンディショナーに関する知見や技術も秀でているのです。
オムロンは白を基調としたスタイリッシュかつコンパクトな蓄電システムを手掛けています。パワーコンディショナーは屋外の壁掛けタイプですが、住宅の景観を損なう心配もなく、設置場所にも困りません。
最後に、パワーコンディショナーを交換する際の注意点を把握しておきましょう。
注意すべきは以下の4点です。
一般的に、太陽光発電メーカーや蓄電池メーカーは、パワーコンディショナー等の周辺機器の保証期間を10年または15年に設定しています。もし保証期間内であれば、まずは担当の販売店に連絡してみてください。恐らく無料で交換してもらえるでしょう。
互換性の問題についても注意が必要です。もし交換したあとで互換性がないことが分かると、追加で費用が発生してしまうので必ず事前に確認しておきましょう。
パワーコンディショナーを交換する際は、購入費用とは別に工事費用が発生する場合があります。これも事前に必ず確認しておきましょう。
太陽光発電の売電価格を保証してくれるFIT制度ですが、設置後10年が期限となっています。その期限を過ぎると売電価格が大幅に下がるため、売電よりも自家消費の方がメリットが大きくなるケースが多いです。そこで「太陽光発電に加え、蓄電池を設置したい」というニーズが高まるのです。
もし太陽光発電と蓄電池の併用を考えるのであれば、ハイブリッド型パワーコンディショナーを検討してみるといいでしょう。