住宅用太陽光発電
わたしたちは生活する上でさまざまなコストを払っていますが、できるだけ節約したいですよね。例えば、電気料金を節約するためには「ピークカット」という手法が挙げられます。ただ、「ピークカット」を正確に理解し、導入している人はそれほど多くないかもしれません。本記事では「ピークカット」の節約効果や導入方法、また「ピークシフト」との違いについて解説していきます。
ピークカットとは、電力需要の多い時間帯の使用電力を削減することです。
そしてピークカットの狙いの一つが、電力の需要を標準化することで、電気料金の基本料金を下げることにあります。
では、なぜピークカットを行うと電気料金の基本料金が下がるのでしょうか。
その仕組みを説明するために、まず電気料金の算定方法から見ていきましょう。
電気料金は以下の3つの金額を足し合わせることで求められます。
さらに、基本料金は以下の式で求められます。
基本料金 = 単価 × 契約電力 × 力率割引
ここで注目してほしいのが「契約電力」です。
この契約電力は直近12カ月中の最大デマンド値によって定められます。デマンド値とは30分間に消費された電力の平均値を指します。つまり、年間で最も電気を消費する時間帯をもとに、電気料金の基本料金が決まる仕組みなのです。
そこで、電気料金の基本料金を抑えるためには「最も電気を消費する時間帯」の電力を削減し「最大デマンド値」を下げることが必要になります。
以上が、ピークカットによって電気料金の基本料金が下がる理由です。
ここで、ピークカットは一般家庭の電気料金を節約できるのか、考えてみたいと思います。
先ほど、ピークカットは「電気料金の基本料金を削減できる」と述べました。ただ、この仕組みは高圧受電契約のビルや工場などに当てはまるものであり、低圧受電契約の一般家庭に当てはまるものではありません。
例えば、東京電力では一般家庭の電気料金を以下のように算定します。
さらに、東京電力では一般家庭用の電気料金プラン「プレミアムS」において、基本料金と電力量料金を以下のように定めています。
基本料金(10Aにつき) | 286.00円(15Aの場合=429.00円) |
---|---|
電力量料金(定額料金) | 9,879.63円 |
電力量料金(従量料金) | 29.58円 /1kWh |
このように、一般家庭用の電気料金プランでは、「最大デマンド値」によって基本料金が変わるわけではありません。
とはいえ、「最大デマンド値」を下げることは総消費電力を削減することにつながるので、そういった意味では一般家庭においてもピークカットで電気料金を節約することは可能と言えます。
ピークカットの導入方法の中でよく用いられるのが「太陽発電の設置」です。
再生可能エネルギーの普及に向けて、太陽発電の製造技術は年々進歩しており、設置コストも下がってきています。そのため、一般家庭においても「太陽光発電の設置」のハードルは下がってきているのです。
ただ、太陽光発電によってピークカットができるのは日中のみです。ビルや工場においては電力消費のピークが日中にくることが多いですが、一般家庭では電力消費のピークはむしろ朝や夜にくることが多いでしょう。
したがって、一般家庭においては、必ずしも太陽光発電がピークカットを実現させるとは限りません。とはいえ、「太陽光発電によって電気料金を削減できる」という事実は変わらないでしょう。
ピークカットと似ている手法として、ピークシフトが挙げられます。
ピークシフトとは、電気を使用する時間を分散させることです。
つまり、ピークカットが電力の消費量を変えることで標準化を図るのに対し、ピークシフトは電力の消費時間を変えることで標準化を図ります。
ピークカットと同様、ピークシフトの狙いも電気料金を節約することです。
一見、ピークシフトは消費電力量が変わらないので電気料金も変わらないように思いますよね。しかし、電気契約プランによっては時間帯で料金が変動します。そういった電気契約プランを利用すればピークシフトによって電気料金を節約することができるのです。
ピークシフトの導入方法として一般的なのが「エコキュートの設置」です。
エコキュートは自然冷媒を利用した電気給湯機であり、その特徴は料金が安い夜間電力を使用してお湯を沸かすことです。つまり、家庭の電力消費量が最も少ないであろう深夜に電気を使ってくれるのです。まさにピークシフトに最適な家電と言えますよね。
ただし、エコキュートはガス給湯器と比べて設置費用が高いです。エコキュートを検討するのであれば、初期コストやランニングコストをよく吟味することが肝要です。