蓄電池
オール電化や太陽光発電付きの省エネ住宅が増えているため、家庭用蓄電池に関心を持つ方も多いでしょう。一方で、家庭用蓄電池は初期費用が嵩むため、費用対効果を疑う声も聞かれます。そんな中、100万円以下で購入できる蓄電池「Looopでんち」が登場。そこで、本記事では「Looopでんち」の性能や価格、太陽光発電との連携についても解説していきます。
Looopでんちは株式会社Looop(ループ)が販売している家庭用蓄電池です。
株式会社Looopは2011年に創業。太陽光発電事業を手掛けながら、2016年に低圧電力小売サービス「Looopでんき」を開始。そして2017年に「Looopでんち」を発売すると、100万円以下という圧倒的な低価格で注目されました。
さらに、株式会社Looopは太陽光発電と蓄電池を組み合わせた電気料金プラン「Looopのセット割」や、卒FIT者対象プラン「Looopでんき0」など、太陽光発電と蓄電池の併用者向けのプランを充実させていきます。
これらの活動は、株式会社Looopのビジョン「再生可能エネルギーの『地産地消』を家庭でも実現させる」に依拠しているのです。
Looopでんちは以下4点を含むパッケージ製品として販売されています。
ここで注目すべきは、ハイブリッドパワコンを用いている点でしょう。それによって太陽光発電と蓄電池の電気変換を1台で処理できるため、電気ロスを抑えることができ、また設置スペースも節約できます。
では、Looopでんちの仕様を見てみましょう。
型式 | LP-PKG-HB0101(パッケージ型番) |
---|---|
蓄電池 | リン酸鉄リチウムイオン電池 |
パワコン | ハイブリッド型 |
蓄電容量 | 4kWh |
設置場所 | 蓄電池:屋内、屋外 パワコン:屋外 |
使用環境温度 | 蓄電池:0℃~+40℃ パワコン:-20℃~+40℃ |
外形寸法 | 蓄電池:W476×H850×D305.5mm パワコン:W487×H681×D200mm |
メーカー希望小売価格 | 898,000円(税別) |
寿命 | 12,000サイクル ※1日1回の充放電で約15年稼働 |
保証 | 10年(無償)/15年(有償) |
なお、LooopでんちはOEMとしても製造されており、そちらはオムロン製として販売されています。
では、オムロン製Looopでんちの仕様を見てみましょう。
型式 | 蓄電池:KP-BU98-B パワコン:KPAC-A40 |
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蓄電池 | リチウムイオン電池 |
パワコン | 蓄電池用 |
蓄電容量 | 9.8kWh |
設置場所 | 蓄電池/パワコン:海岸から500mを超える屋外 |
使用環境温度 | 蓄電池:-10~+45℃ パワコン:-20~+50℃ ※どちらも結露および氷結は避ける |
外形寸法 | 蓄電池:W452×H542×D228mm パワコン:W650×H493×D222mm |
メーカー希望小売価格 | オープン価格 |
Looopでんちの特徴は次の4つです。
それぞれの特徴について詳しく解説していきます。
家庭用蓄電池の相場は、容量によって異なりますが、150~200万円に収まるケースが多いです。
しかし、Looopでんちは蓄電池、パワコン、通信コントローラ、リモコンのパッケージで、898,000円という価格を実現。
これほど価格を下がることができた主な要因は、蓄電容量と部品調達にあります。
蓄電容量については、1000軒以上の家庭の電力使用データをもとに、低価格と実用性を両立できる値を算出しました。
部品調達については、通信機器の部品の共通化を実行。また良質かつ安価な部材の調達ルートを確保することで、生産コストを削減しました。
株式会社Looopは独自の電気料金プラン「Looopでんき」を展開しています。
そして、同プランは蓄電池や太陽光発電と併用するとお得に利用できるのです。
例えば、Looopでんちとの併用プラン「Looopでんき でんち割」では、1kWhあたりの電気料金が3円安くなります。
では、併用プランについて以下にまとめました。
プラン | 加入条件 | 割引額 |
---|---|---|
Looopでんき でんち割 | Looopでんち設置 | 3円/kWh |
Looopでんき ソーラー割 | 太陽光パネル設置(メーカー問わず) ※余剰電力はLooopに売電 |
1円/kWh |
Looopでんき ソーラー割L | LooopSolar太陽光パネル設置 ※余剰電力はLooopに売電 |
1円/kWh |
なお、以上の3プランはすべて組み合わせることができます。つまり、LooopでんちとLooopSolar太陽光パネルを設置して「Looopでんき」に加入すると、1kWhあたりの電気料金が5円安くなるのです。
蓄電池にはいくつか種類がありますが、多くの家庭用蓄電池はリチウムイオン電池を採用しています。
リチウムイオン電池には「軽量で小型化が可能」「寿命が長い」といったメリットがあるためです。
さて、Looopでんちの場合は、リチウムイオン電池の中でも安全性の高いリン酸鉄リチウムイオン電池を採用しています。
さらに、Looopでんちはパッケージ製品の全てを国内生産にすることで、システム全体の安全性を高めているのです。
株式会社Looopは創電、蓄電、電気の小売および買収など電力に関するサービスを幅広く手掛けています。
そのため、各家庭ごとの電気使用量から時季や地域ごとの電力需要まで、データが大量に蓄積されています。
それらのデータをもとに開発されたのが、LooopでんちのAIシステムなのです。
LooopでんちのAIシステムは、電気使用量予測や太陽光発電予測、天気予測などに基づき、それぞれの家庭に最適な充放電を行います。
家庭用蓄電池を設置する場合、地域によっては自治体から補助金を受け取れます。
Looopでんちも補助金制度の対象になるかもしれません。
ただし、すべての自治体から補助金が出るわけではなく、また予算などの要綱も自治体によって異なります。
なお、蓄電池を含む省エネ住宅全体を対象とした補助金制度もあり、そちらの方が受け皿が大きいです。
いずれにせよ、まずはお住まいの地域の自治体に相談してみましょう。
最後に、Looopでんちのメリットとデメリットを確認しておきましょう。
Looopでんちは非常に低価格である上に、電気料金プラン「Looopでんき」を利用することで電気代の節約にも貢献します。
家庭用蓄電池に対して「初期費用がかかりすぎる」といった声も聞かれます。しかし、Looopでんちなら費用面のハードルを大幅に下げることができるでしょう。
また、太陽光発電との連携を考える上でも、Looopでんちは適切な蓄電池です。
他社の太陽光発電とも問題なく併用できる上に、「Looopでんき」の割引プランを利用することもできます。
なお、Looopでんちにはハイブリッドパワコンが組み込まれているので、太陽光発電のパワコンを交換するタイミングで導入すれば費用を抑えることができます。
Looopでんちは太陽光発電との併用を前提として設計されています。
もし蓄電池単体の使用を考えるのであれば、ハイブリッドパワコンを用いているLooopでんちは割高になるでしょう。
また、Looopでんちは生産コストを抑えるため、蓄電容量が4kWhに設定されています。これは他社の蓄電池と比べると小容量と言えます。
家族が多い家庭やオール電化の家庭など電気使用量が比較的多い家庭には、Looopでんちの蓄電容量は物足りないかもしれません。
ただ、蓄電池は容量が上がると価格も上がってしまいます。
ぜひ色々なメーカーの蓄電池を比較した上で、ご自身の環境にピッタリ合う蓄電池を見つけてくださいね。